樹生かなめ 2
書籍名:龍の恋、Dr.の愛
出版社:講談社 ホワイトハート
以前は二見書房から出版されていましたが、今回からは講談社に移ったようです。二見書房が出してくれなかったのかな?
参考までに二見書房の本です。Drは龍に乗る(リンクがない。残念)DR(ドクター)は龍と立つ
内容:
氷川諒一(29)は明和病院の内科医であり、ヤクザの姐さんである。橘高清和(19)は眞鍋組の2代目組長を受け継ぎ、諒一はその囲われ者に甘んじているが、決して清和がヤクザとして生きて行くことに賛同したわけではない。清和の全てが愛おしくて、食事のこと、女関係のことを心配する。
そんな諒一に言葉少ない清和は逆らわない。
2代目を襲名してまだ間もない清和の近辺が騒がしくなり、諒一は戦争に巻き込まれてしまうのだった。
感想:
大好きなシリーズです。樹生さんの作品では「限りなく~」を先に読みましたが、好き度はこちらが上です。
諒一はキャラとしても受けとしても、それほど好きではありません。今回も小説の前半分は、諒一の過剰な心配で埋め尽くされています。肉好きの清和に何を食べたか詰め寄ったり、手洗いうがいをさせたり、女の匂いに敏感になったり。
こいつアホかと思うくらい変な会話。きっと諒一の専門は内分泌系だろう。いつも生活習慣病のことばかり気にしてる。そりゃ4食肉ばかりだったらそうかもしれないけど、少し馬鹿馬鹿しささえ感じました。でもそれが諒一の持ち味だからしょうがないかな。
何が好きって、清和くんが好き!
19歳という年の若さながら株で眞鍋組の窮状を好転させます。寡黙です。無駄口はいっさいたたきません。無表情です。でも意思ははっきりしてます。戦争の時は人殺しも平気です。ガタイもいい。顔もいい。黒いスーツを着ている。子供の頃は虐待を受けていました。育ての親である橘高のためにヤクザになり、その気持ちを表すために背中に昇り龍を背負っています。幼い頃、自分を可愛がってくれた諒一を一筋に愛します。
なんてステキな男だろう。寡黙なため行動で彼の気持ちが表現されたりすることが多いです。突飛もない諒一の言葉に遠い目になったり、沈黙したり。カカア天下に逆らわない。
そして不要なものは一切の私情を挟まず切り捨てる。
うーん、好きだ。
清和だけの戦争物語だけでも読めると思う。実際、二見シャレード文庫の本にはそのようなお話もあり、エッチは一切なしでも面白いです。むしろ、清和やリキ、橘高のオヤジなど登場する眞鍋組の闘争物語を、まるまる1冊書いて欲しいな。
今回はサイン本を買いました。目的は付録のペーパー。内容は諒一の見た夢と諒一の病院のお話。「だぜDR.」の芝と久保田が友情出演です。
講談社の本のせいか、はたまた樹生さんの気持ちのせいか、エッチ描写は少なめです。最後のエピソードは笑えるけど、諒一のアホさに清和に同情しました。
絵もかわりました。今回は奈良千春さん。知らないです。嫌いじゃないけど、好きでもない。二見書房の時よりマシかなぁ。
評価:A
エッチ度 ☆☆★★★
感動度 ☆☆☆★★
ワクワク度 ☆☆☆☆☆
|
書籍名:ありのままの君が好き
著者名:樹生かなめ
出版社:大洋図書 シャイノベルス
内容:
四天王寺寿杏はその外見から「ブタゴリラ」と呼ばれ嘲笑の対象であった。鈍くて暗くて気が弱いコンプレックスの塊。身長2メートルくらい、体重170キロくらい。ファザコン。
そんな寿杏にも人生の春が訪れる。
感想:
その内容から、同人誌を買う気になれなかったのに、きちんと製本され店頭に並んだ本を見ると、ファンとしては手に取りたい衝動にかられてしまった。
かなめさんの挑戦し続ける姿勢は大好き。BLではありえない設定をあえて考えるその根性。今回はその最たる設定だろうなぁ。きちんとエッチしてるし・・・
感想は、わからない。
ぶーちゃん、幸せを掴んでよかったね、と思うし、やっぱ主人公は外観がどうであれステキな彼ができるのか、と妙に納得するし。
ぶーちゃんがラブリーな受けであることは私も賛成。好きか嫌いかは別の次元で、嫌いじゃないけど、好きでもないというか・・・はぁ、複雑です。狡猾でない純粋培養、それだけでもぶーちゃんの魅力はアップします。
攻め男の英の美意識は変わってる。かなめさんの攻め男の中でも一番変わってると思う。高須賀とか、坊さん専門の仁科、オヤジ専門の小田原の方がよほど普通だと思う。でも「心で勝負」だと言われれば、それが一番重要な英が一番普通なような気もする。
オデブが好きな人、いるんだね。外見がどうでもいいって、本当に英はぶーちゃんのことが好きなんだな。ぶーちゃんが羨ましい。
それとかなめさんの作品に登場する男性はどれもすごく背が高い。だいたい180センチ以上が普通だもん。堀は170センチ台だったけど。ぶーちゃんは202センチとぶっちぎりに背が高い。
私の周囲に180センチ以上の男性はあんまりいないなー。
雪舟薫さん、さすがにぶーちゃんの絵は描けなかったんですね。挿絵の依頼が来たときの雪舟さんのコメント、聞いてみたかった。
評価:C
エッチ度 ☆★★★★
感動度 ☆☆☆★★
ワクワク度 ☆☆★★★
|
書籍名:僕は野球に恋をした
出版社:講談社 X文庫
内容:
及川大周は野球に青春を燃やした体育会系の元高級官僚。官僚の体質が合わずに、飛鳥井グループの御曹司・飛鳥井泰明の経営するIT企業で働いている。大周の従兄弟である及川大河も野球少年で、恵まれた体格を持ち、大周の希望の星だった。
ある日TVで見た大河は、なんとオカマだった。驚愕する大周。大河が働くオカマバーに乗り込み激怒する大周だったが、大河は子供の頃から心は乙女だったと言う。同行した泰明は、そんな大河のために球団を造る、と言う。そのジェネラルマネージャーに大周は指名された。
新球団設立するための大周の奔走が始まる。
感想:
物語は起承転結で成り立っている。この物語はまだ「起」から「転」あたりだと思うのだが・・・
名前は全く異なるけど、球団とか、IT企業の球界新参入などのエピソードは実際に起こったことをモチーフにしてらっしゃるのかな、と思った。ただ、主人公・大周はノンケ、球団の数人の選手はオカマ、職員は全員ホモ、監督はアル中という、設定はさすがかなめさんである。普通じゃなないところがグッド。しかし爆笑するほど面白いとは思わなかったなぁ。クスクス程度。
大河はオカマちゃんで、がっちりした体にスカートでクネクネなんだけど、考えたら新参入野球団の選手がスカート姿でクネクネしてたら恐いものがある。しかも4人もオカマがいるんだもんね。そりゃあバッシングも受けるだろう。でもオカマちゃんがキャァっと叫びながら、ファインプレイなどしたら楽しいだろうな。表面上や仕草は女でやることはバリバリのプロスポーツ選手、という落差が面白い。
多分オカマは、嫌味ではないし、異色であることとか、男と女の狭間であること、少なくともストレートよりも紆余曲折な人生を送ってきた過去を持つであろうということを簡単に想像できること、などから、書くととっても魅力的なキャラになるのだろうと思う。
大周の一本気な性格はよくわかるけど、主人公の魅力としては少なめだと思う。選手集めに奔走する姿は好感だし、坊主憎けりゃ袈裟までじゃないけど恨みのある名前の人は不採用などは、「わかる、わかる」と思う。けど、球団のことを書きたかったのだろう。大周はその案内役的な役回りのせいか、一生懸命動き回ってる割に、気に入った、という感情はわかなかった。
私の好みは風間だな。美系インテリで陰の立役者、というスタンスの人が好き。
そして、球団は結成されて、物語終了である。練習試合すらない。人員集めに奔走した大周の話で終わっている。架空の球団を創ったのだから、試合もしなきゃね。きっとかなめさんの中では次があるのだろう。ソルジャーズがミラクルで優勝しないと面白くないもん。
ただ、次読むかと言われると、どうだろう。私はBL好きである。そこにBL要素あるものの、基本的にBL的恋愛は書かれていない。オカマはBLになるのかな?私的にはオカマとBLは別次元なのだよね。大周か、もしくは風間がBL的恋愛を悩みドタバタで成就させるという脇ストーリーでもあれば積極的に読むかも。ただ、このまま球団運営にのみ終始すれば、読まないかもね・・・
すごいなと思ったのは、登場人物の書き分け。読んでて混乱しない。それぞれのキャラに魅力がある。その筆力はさすが。
評価:C
エッチ度 ★★★★★
感動度 ☆★★★★
ワクワク度 ☆☆☆★★
|